「キーンコーンカーンコーン」始業のベルが鳴った。
由貴子は友達との談笑を止め、廊下へ飛び出した。
「いけない、いけない、授業の前にちゃんと準備をして
おかなくちゃいけないのに。」
慌ててロッカーを開け、現国の教科書を取り出す。
彼女の目は今どんなに高価な宝石でもかないはしないくらい
美しく光り輝いているのだった。
そもそもこの恋の始まりは、彼女がこの高校に
入学したばかりのことだった。
授業が終って、友達と待ち合わせの場所へ急いでいる途中だった。
廊下の曲がり角も一時停止もせず走り続けていると
角の階段から降りてきた鈴木という教師正面衝突をしてしまったのだった。
彼も走っていたらしく、その結果はひどいものになってしまった。
「キャー、ごめんなさい。急いでいたものですから…
先生だったんですか。どうもすみません。本当に…」
「いてててェー。誰だ、いきなり…。えーと君は…
確か、K林だよ。K林なんだよ。僕は自慢じゃないが、
顔と名前を覚えるのはもう、K校随一、いや県下一であってねぇ…
まぁ、いいや、どうでもいい…。
そうだ、K林! おい、見ろ、このざまを。みんな放りだしやがって。」
見ると、ノート・ふで箱・教科書全て廊下にオンパレードしている。
由貴子は少し絶句して、思わず鈴木の顔を見てしまった。
彼も彼女と同様にあきれ果てた顔をしている。
目が合いしばらくすると、ふたりともふき出してしまった。
ここでことわっておくがふたりとも廊下で座り込んだままである。
「こりゃあいいや。まるで学用品のたたき売りだなぁ」
そう言って鈴木は立ち上がり、ズボンを少しはらった。
そして極めて自然に手を差しのべた。
「ほら、立って。」
彼の行動に驚いてしまい、由貴子しばらくの間考えていたが
思い切って彼の手につかまった。
「ありがとう。」
そう言うととびきりの笑顔を返した。
この時鈴木は、はじめて彼女の顔を細部まで見た。
「きれいだ…。」ふとそんな言葉を漏らしてしまい、
自分自身に驚いて、ごまかした。
「いや、なんでもないぞ。うん。とにかく気をつけるんだぞ。」
鈴木のその言葉にY子は少し反撃してやれと思った。
「でもね、先生。先生だって階段から駆け降りてきたんじゃないですか?」
確かそうだったと思ったんだけどなぁ…。」
「えっ?いや、そうか?まぁそんなこともあったかなぁ。ハハハ。」
ふたりは笑った。そして由貴子はふと思った。
「こんなに気持ちよく笑ったのは初めてじゃないかしら?」
時間を見つけては不要なものを片付け。
まだ続いています。
そんな中見つけたもの。
何故、ここにあるのかはわからない。
何かと一緒に入っていたのかなぁ。
あぁ、これ?
友人が高1の時に遊び半分で書いたものです。
改めて読んでみたらおもしろかったので
ちょっと・・・
なんとなく実話。登場人物は実名です(笑)
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